クラウドサービス

ClearBlade IoT Core

終了した Google Cloud IoT Core の互換後継として、デバイスの認証・接続・管理をマネージドで引き継ぐ。MQTT/HTTP ブリッジで多数のデバイスを Pub/Sub へつなぐ。AWS IoT Core に相当。

中級セキュリティ運用上の優秀性信頼性
最終更新: 2026-07-29公式ドキュメント
3つの要点
TL;DR
  1. 旧Cloud IoT Core互換の、ClearBlade提供の外部IoT基盤。
  2. JWTで端末を認証し、MQTTやHTTPからPub/Subへ転送する。
  3. QoS 0は損失、QoS 1は重複を前提に下流を冪等化する。

解決する課題

多数の IoT デバイスを安全に接続し、認証・接続管理・テレメトリ取り込みをマネージドに任せられます。Google が提供していた Cloud IoT Core は終了しましたが、その互換後継として ClearBlade IoT Core が Google Cloud 上で同等の役割を担います。

  • 大量デバイスからのテレメトリを MQTT / HTTP で安全に受けたい(個別のブローカ運用なしで)
  • デバイスごとに 証明書ベースの認証 を行い、なりすましを防ぎたい
  • クラウドからデバイスへ 設定(config)やコマンド を配信したい
  • 受信データを Pub/Sub に流し、後段の分析・保存・処理へつなぎたい
  • 終了した Cloud IoT Core からの移行 を、コードや API をできるだけ変えずに行いたい

主要概念と用語

  • デバイスレジストリ(Registry): デバイスをまとめる論理的なコンテナ。テレメトリ/状態の転送先 Pub/Sub トピックや、許可するプロトコルを設定する。AWS IoT Core の「モノ(Thing)」群の管理に近い
  • デバイス(Device): レジストリに登録される個々の機器。公開鍵(証明書)や設定(config)、状態(state)を持つ
  • MQTT ブリッジ: デバイスが MQTT で接続するエンドポイント。テレメトリ発行・config 受信・コマンド受信などに予約トピックを使う
  • HTTP ブリッジ: 常時接続が難しいデバイス向けに、リクエスト単位でテレメトリ送信や config 取得を行う経路
  • テレメトリ(Telemetry)イベント: デバイスからの計測データ。レジストリに紐づく Pub/Sub トピックへ転送される
  • デバイス状態(State): デバイスが報告する現在の状態。最新版が保持される
  • 設定(Configuration / config): クラウドからデバイスへ配るバージョン付きの設定値
  • コマンド(Command): MQTT で接続・購読中のデバイスへ送る一時的な指示。保存されず、HTTP では受信できない
  • JWT 認証: デバイスは登録した鍵で署名した JWT(JSON Web Token) をパスワードとして提示し接続する
  • 互換性(互換 API): ClearBlade IoT Core は Cloud IoT Core と同等の概念・API を提供し、既存クライアントの移行を容易にする位置づけ

仕様・制限・クォータ

  • 接続は MQTT 3.1.1 または HTTP 1.1、暗号化は TLS 1.2 以上。MQTT は 8883 番または 443 番ポートを使い、QoS 2・任意トピック・永続セッションには対応しない
  • デバイス認証は RS256 / ES256 で署名した JWT。JWT の有効期間は最大 24 時間で、秘密鍵はデバイス側に保持する
  • 利用可能リージョンは us-central1 / europe-west1 / asia-east1。デバイス数はプロジェクト・リージョンごとに既定 10 万台、同時 MQTT 接続は既定 1 万件で、いずれも増枠を申請できる
  • テレメトリは最大 256 KB、状態と config は最大 64 KB、資格情報は端末ごとに最大 3 個。MQTT は 1 接続あたり毎秒 100 メッセージ、上り・下りはそれぞれ毎秒 512 KB が上限
  • command は MQTT のみで、接続・購読中の端末に限り送信する。保存されず、60 秒でタイムアウトする。QoS 1 の成功応答は少なくとも 1 回の受信を示すため重複処理に備える
旧 Cloud IoT Core は終了済み

Google の Cloud IoT Core は2023年8月16日に停止しました。ClearBlade IoT Core は Google 管理サービスではなく、Google Cloud Marketplace で利用する ClearBlade提供の外部サービスです。互換性だけでなく、提供者、契約、リージョン、障害対応の責任境界を確認します。

内部の仕組み

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端末をClearBlade IoT CoreのJWT認証付きMQTTまたはHTTPブリッジへ接続し、Google Pub/Subから分析先へ送る経路図
ClearBladeが端末台帳と接続ブリッジを提供し、Google CloudはPub/Sub以降を提供します。QoS 0は損失、QoS 1は重複があり得ます。

デバイスは MQTT ブリッジ(または HTTP ブリッジ)へ接続し、JWT を提示して認証されます。認証後、デバイスは予約された MQTT トピックへテレメトリを発行し、ブリッジはそれをレジストリに設定された Pub/Sub トピックへ転送 します。以降の保存・分析・通知は Pub/Sub の購読側で行います。

  • 上り(デバイス→クラウド): テレメトリと状態(state)を送る。テレメトリは Pub/Sub へ流れ、状態は最新版が保持される
  • 下り(クラウド→デバイス): 保存される config と、一時的な command を使い分ける。config は MQTT の再接続後または HTTP の取得要求で最新版を得られる。command は接続・購読中の MQTT デバイスだけに届く
  • 認証と接続管理: 鍵のローテーションや有効期限切れの JWT を拒否し、許可されたデバイスだけを通す
  • ブリッジ自体は マネージドで、ブローカやスケーリングの運用はサービス側が担う

設計パターン / ベストプラクティス

  • 取り込みは ClearBlade IoT Core、後段は Pub/Sub 以降に分離: テレメトリを Pub/Sub に流し、保存は BigQuery、ストリーム処理は Dataflow へつなぐ疎結合構成にする
  • config と command を使い分け: 「望ましい状態を保持したい」設定は config、「今すぐ実行させたい」指示は command にする
  • デバイス鍵は個別発行: 共有鍵を避け、デバイスごとに鍵を持たせて被害範囲を局所化する。鍵には有効期限を設けローテーションする
  • 再接続と冪等性: QoS 1 の再送や command の重複を前提に、後段と端末側の処理を 冪等 に作る
  • 段階的なロールアウト: config の更新はデバイス群を分けて段階適用し、不具合時の影響を抑える
  • 移行時は互換性を活用: 旧 Cloud IoT Core からの移行では、互換 API を活かしてクライアント変更を最小化する

運用・監視

  • Cloud Monitoring / Cloud Logging で接続数・エラー・認証失敗などを監視する
  • 認証失敗の増加は 鍵の期限切れ・時刻ずれ(JWT の有効期間判定)・証明書設定ミス を疑う
  • テレメトリが後段に届かない場合は、レジストリの 転送先 Pub/Sub トピックと IAM 権限 を確認する
  • デバイス側のクロックずれは JWT 検証を失敗させるため、時刻同期 を運用要件に含める
  • 後段の滞留は Pub/Sub のメトリクス(未配信メッセージ数・最古メッセージ経過時間)で把握する

コスト

ClearBlade IoT Core は月間データ量で課金され、250 MB までは無料、その後は段階単価です。各メッセージは最低 1,024 バイトとして計算され、MQTT の CONNECT・PINGREQ・PUBLISH なども対象です。Pub/Sub・保存・分析の料金は別途発生するため、接続維持だけの PINGREQ も含めて見積もります。

コスト要素課金の考え方節約のポイント
IoT Core 通信月間データ量、1通信最低1,024バイト送信頻度・keep-alive・ペイロードを調整
Pub/Sub 連携転送データ量で課金不要な購読者を減らす
保存(BigQuery 等)保存量・処理量で課金保持期間と集計粒度を見直す
ストリーム処理(Dataflow 等)処理リソースで課金必要な期間だけ稼働させる

セキュリティ

  • デバイスは 公開鍵による JWT 認証 で接続し、共有パスワードを使わない
  • 通信は TLS で暗号化し、デバイス側で正規エンドポイントを検証する
  • IAM でレジストリ管理や転送先 Pub/Sub への権限を最小化する(管理者と運用者の分離)
  • 鍵は デバイス個別に発行し有効期限とローテーション を設定、漏えい時は当該デバイスのみ失効させる
  • 後段の Pub/Sub・保存先には CMEK や VPC Service Controls を併用し、データの保護・持ち出し防止を強化する
アンチパターン

全デバイスで秘密鍵を共有するのは NG。1 台漏えいすると全体がなりすまし可能になります。 鍵はデバイスごとに発行し、有効期限とローテーション、失効の運用をセットで設計してください。

関連サービス・比較

テレメトリの転送先となる Pub/Sub と組み合わせるのが基本構成です。役割を比較します。

観点ClearBlade IoT CorePub/Sub
主な役割デバイス接続・認証・管理サービス間の非同期メッセージング
接続主体IoT デバイス(MQTT/HTTP)アプリ/サービス
認証デバイス鍵による JWTIAM とサービスアカウント
下り通信保存configとMQTT command購読者への配信。端末管理は別途
位置づけ取り込みの入口取り込み後の配信基盤
役割分担のまとめ

ClearBlade IoT Core は「デバイスを安全につなぐ入口」、Pub/Sub は「その後のデータを各処理へ届ける配信基盤」です。 IoT Core で受けたテレメトリを Pub/Sub に流し、BigQuery や Dataflow へつなぐのが定番の流れです。

ハンズオン / CLI例

# ClearBlade IoT Core は ClearBlade 提供のコンソール / API で操作する想定だが、
# 旧 Cloud IoT Core 互換のため、概念対応の確認として gcloud の流れを示す。

# 1) テレメトリ転送先となる Pub/Sub トピックを用意
gcloud pubsub topics create device-telemetry

# 2) そのトピックを購読するサブスクリプションを作成
gcloud pubsub subscriptions create device-telemetry-sub \
  --topic=device-telemetry

# 3) レジストリ作成・デバイス登録・config 配信は IoT Core 側の
#    コンソール / API(互換エンドポイント)で実施する。概念は次の通り:
#    - レジストリ: テレメトリ転送先 Pub/Sub トピックを指定
#    - デバイス: 公開鍵(RSA / EC)を登録し JWT 認証を有効化
#    - config: バージョン付き設定を配布、command: 即時指示を送信

# 4) 後段の動作確認: 届いたテレメトリを購読側で取得
gcloud pubsub subscriptions pull device-telemetry-sub --auto-ack --limit=10

Google Cloud Service

ClearBlade IoT Coreを実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

IoT

比較で見る軸

クラウド: Google Cloud / カテゴリ: IoT / 難易度: intermediate

導入後に効く点

JWTで端末を認証し、MQTTやHTTPからPub/Subへ転送する。

先に潰すリスク

サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。

数字・仕様の読み方
クラウド
Google Cloud
カテゴリ
IoT
難易度
intermediate
関連資格
設計柱
security / operational / reliability

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「IoT / security」に近いか確認する。
  • 強みである「旧Cloud IoT Core互換の、ClearBlade提供の外部IoT基盤。」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

IoTsecurityoperationalreliability