クラウドサービス

Process Automation(Oracle Integration 3付属)

独立版OCI Process Automationは2026年4月3日に提供終了。現行はOracle Integration 3 Enterpriseへ付属機能として有効化し、人間タスクや長期業務プロセスを扱う。

中級運用上の優秀性信頼性セキュリティ
最終更新: 2026-07-29公式ドキュメント
3つの要点
TL;DR
  1. 独立版は2026年4月3日に提供終了した。
  2. 現行はOracle Integration 3 Enterpriseへ付属する。
  3. 無効化すると全プロセスと実行データが削除される。
独立版は提供終了済み

スタンドアロンのOCI Process Automationは 2026年4月3日に提供終了しました。現行のProcess Automationは Oracle Integration 3 Enterpriseに付属する機能です。付属機能を無効化すると、プロセス、フォーム、実行データが完全に削除されます。

解決する課題

受発注の承認、経費精算、入退社手続きのような業務は、人の判断や承認を挟みながら数時間から数日にわたって進みます。こうした「人を含む長期プロセス」をメールや表計算で回すと、滞留や抜け漏れ、進捗の不透明さが避けられません。OCI Process Automation は、これらの業務プロセスをローコードのビジュアル設計で組み立て、実行・追跡できるマネージドサービスです。

  • 申請承認や審査など、人の承認ステップを含むフローをシステム化したい
  • 進行が数日にわたる長期プロセスの状態を、確実に保持して可視化したい
  • 業務ルール(割引率や承認権限など)をコードに埋め込まず、ルールとして外出ししたい
  • 申請フォームから後続処理までを、個別のアプリを作り込まずにまとめたい

AWS では、ステップ実行のオーケストレーションを担う Step Functions に、人間の承認・タスク処理の仕組みを足した領域に近く、OCI Process Automation はそれを人間中心のワークフローとして 1 サービスで提供します。

Oracle Integration 3と同じ境界で使う

付属Process AutomationはOracle Integration 3と同じテナンシ、リージョン、コンパートメントで有効化します。データ連携はIntegration、人の承認と長期状態はProcessへ分けます。

主要概念と用語

  • プロセスアプリケーション(Process Application): プロセス・フォーム・ディシジョン・コネクションなどをまとめた設計・デプロイの単位
  • 構造化プロセス(Structured Process): 開始から終了まで手順が定まったフロー。BPMN ベースで分岐・並列・承認を順序立てて表現する
  • 動的プロセス(Dynamic Process): 進行順が固定でなく、条件やイベントで活性化するケース管理型のプロセス。審査や調査のように手順が一定でない業務に向く
  • 人間タスク(Human Task): 担当者やグループに割り当て、承認・却下・入力を待つステップ。期限やエスカレーションを設定できる
  • ディシジョン(Decision / ビジネスルール): 承認権限や割引率などの業務ルールを表形式で外出しする仕組み。標準の DMN に沿ってルールを定義する
  • フォーム(Form / Web フォーム): 申請入力や承認画面をローコードで作る UI。プロセスの開始や人間タスクの操作画面として使う
  • コネクション(Connection): REST API や他サービスを呼び出すための接続定義。プロセスから外部システムを連携する
  • デザイナー(Designer): プロセスやフォームを作る設計時の環境
  • ワークスペース(Workspace): デプロイ済みプロセスを実行・操作・追跡する実行時の環境。担当者が割り当てられたタスクを処理する場でもある

仕様・制限・クォータ

  • プロセスは REST 呼び出し・フォーム送信・スケジュール・イベントなどを起点に開始でき、外部へは REST で公開できる
  • 構造化プロセス(手順固定)と動的プロセス(ケース管理)の両方をサポートし、人間タスク・ディシジョン・コネクションを部品として組み合わせる
  • 実行中のプロセスはインスタンスとして状態が永続化され、長期にわたって滞留しても進行状態を保持する
  • 1 つのペイロードサイズ、同時実行数、保持期間、デプロイ可能なアプリ数などにはサービス上の上限があり、大容量データは本文で運ばず参照渡しにする
  • 新規のスタンドアロンインスタンスは作成できない。現行は Oracle Integration 3 Enterpriseの既存インスタンスに付属機能として有効化する
  • Gen 2 Processとの段階的な併存は最長 2026年12月31日までで、その後は廃止される。定義だけでなく実行中インスタンスと履歴の扱いを移行計画へ含める
  • 付属機能を無効化するとプロセスアプリ、実行状態、履歴が完全削除されるため、エクスポートと保持確認なしに実行しない
長期プロセスの滞留を放置しない

人間タスクは担当者が処理するまで進みません。期限とエスカレーションを設定せずに放置すると、インスタンスが滞留し続けます。期限・リマインド・代理承認を設計に組み込み、滞留を運用で検知できるようにしましょう。

内部の仕組み

横にスクロール

旧独立版の資産を整理し、Oracle Integration 3 Enterpriseへ付属Processを有効化して再配置、検証する経路を示す図
付属ランタイムの状態保持はOracleが担う。定義移行、実行履歴、承認権限、外部更新の冪等性は利用者が担う

現行のProcess Automationは Oracle Integration 3 Enterpriseに付属するマネージド実行ランタイムです。開発者はデザイナーでプロセス・フォーム・ディシジョンを組み立て、実行状態と人間タスクを付属ワークスペースで管理します。

  • プロセスはインスタンスとして起動され、各ステップの状態がランタイムに永続化される。人間タスク待ちのように数日止まっても、進行状態は失われない
  • 人間タスクに到達すると、割り当てられたユーザーやグループのワークスペースに作業項目が現れ、承認・却下・入力を受けて次へ進む
  • ディシジョンは実行時にルール表を評価し、承認ルートや値を返す。ルール変更はコード改修なしにルール側で行える
  • コネクションを通じて外部 REST API や他の OCI サービスを呼び出し、自動処理ステップを実行する
  • 構造化プロセスは順序立った BPMN フロー、動的プロセスは条件やイベントで段階が活性化するケースとして進行する
自動処理は冪等に、人手は監査可能に

プロセスの自動ステップは再試行で重複実行されうるため、外部呼び出しは冪等に設計します。一方、人間タスクの承認・却下は誰がいつ行ったかを追跡できるよう、監査と権限設計を併せて整えておくと安心です。

設計パターン / ベストプラクティス

  • 申請承認ワークフロー: フォームで申請を受け、ディシジョンで承認ルートを決め、人間タスクで多段承認する。金額や部門に応じて承認者を動的に切り替える
  • ケース管理(動的プロセス): 審査・調査・問い合わせ対応のように手順が一定でない業務は、動的プロセスで状況に応じてアクティビティを活性化する
  • ルールの外出し: 承認権限・割引率・SLA などの可変ルールはディシジョンに分離し、プロセス本体を改修せずルールだけ更新する
  • 連携は OIC / Functions に委譲: 複雑な SaaS 連携やデータ変換は OIC や Functions に任せ、本サービスは人を含むプロセスの制御に集中させる
  • 環境分離と昇格: 開発・検証・本番を分け、コネクションの接続先を環境ごとに切り替えてアプリを昇格(プロモーション)する
  • 期限とエスカレーション: 人間タスクには期限・リマインド・代理承認を設定し、滞留を防ぐ

運用・監視

  • 各プロセスはインスタンス単位で実行状態を追跡でき、滞留・失敗・処理時間を可視化できる
  • 人間タスクの滞留(未処理のまま期限超過)が運用の主要な監視対象。担当者別の未処理件数や平均処理時間を見て、ボトルネックを特定する
  • 失敗した自動ステップはエラー要因の特定と再処理で回収する。接続エラー・データエラー・タイムアウトで対応を分ける
  • メトリクスやログは OCI Monitoring / Logging と連携して監視し、滞留や失敗のしきい値超過をアラート化する
  • プロセス定義の変更・デプロイはバージョン管理と環境昇格で統制し、本番への直接変更を避ける

コスト

Process AutomationはOracle Integration 3 Enterpriseに付属するため、Integrationインスタンスとメッセージパックを基準に見積もります。人間タスクの滞留、外部API、添付保管、監査履歴の外部保管も含めます。

コスト要因考え方最適化のヒント
IntegrationキャパシティEnterpriseとメッセージパックで確保統合処理とProcessを合算して見積もる
プロセス実行量起動・進行するインスタンス量が負荷になる不要な起動を減らしイベント条件で対象を絞る
呼び出し先サービスFunctions や外部 API など連携先にも課金自動ステップの呼び出し回数と処理時間を軽量に
大容量データ本文で大きく運ぶと負荷とコスト増Object Storage 等にステージングし参照渡し
人を含むプロセスにこそ価値がある用途を選ぶ

本サービスの強みは人間タスクや長期プロセスの管理です。単なるデータ転送やバッチ連携は OIC や Functions の方が向く場合が多く、人手・承認・長期滞留が絡む業務に絞って使うと費用対効果が高まります。

セキュリティ

  • IAM ポリシーとコンパートメントでインスタンスの管理権限を最小化し、設計者・運用者・承認者の役割を分離する
  • 人間タスクの割り当てや承認権限は、ユーザー/グループに紐づけて適切に制御する。誰が何を承認できるかを明確にする
  • 外部 API 呼び出しの認証情報は Vault(Secrets)で集中管理し、コネクションやプロセス定義に直書きしない
  • 外部公開する REST トリガーは、前段の API Gateway で認証・認可・流量制御を行い、サービスを直接インターネットへ晒さない
  • 申請フォームやプロセスに個人情報や機密が含まれる場合は、ログ出力や保持範囲に注意し、暗号化と最小権限を徹底する
承認権限と認証情報の管理を緩めない

人間タスクの承認権限を広く付けすぎると、不正な承認の温床になります。承認者は業務に必要な範囲に絞り、操作は監査で追跡可能にしてください。外部連携の認証情報は必ず Vault(Secrets)から参照し、定義への直書きは避けます。

関連サービス・比較

OCI Process Automation は「人を含む業務プロセスの自動化」に特化するため、アプリ間データ連携が主目的の Oracle Integration(OIC) としばしば対比されます。役割で使い分けるのが基本です。

観点付属Process AutomationOracle Integration 3
主目的人を含む業務プロセスの自動化SaaS/アプリ間のデータ連携と統合
得意領域承認/申請/ケース管理など人手フローアダプターによるシステム間連携
人間タスク中核機能(承認/入力/エスカレーション)補助的(連携が主)
プロセスの長さ数日に及ぶ長期プロセスを永続管理比較的短い連携処理が中心
ルール管理ディシジョン(DMN)で外出しマッピング/ロジック中心
AWS の近い領域Step Functions + 人手承認ワークフローStep Functions + AppFlow を合わせた領域

関連して、複雑な SaaS 連携やデータ変換は OIC、サーバーレスの自動処理は Functions、外部公開と保護には API Gateway、イベント駆動の起点には OCI Events、秘密情報管理には Vault を組み合わせるのが定番です。

ハンズオン / CLI例

プロセスやフォームはデザイナーで作成し、付属機能は既存のOracle Integration 3 Enterpriseインスタンスに対して有効化します。旧スタンドアロン用CLIは使用しません。

# 対象がOracle Integration 3 Enterpriseであることを確認
oci integration integration-instance get \
  --integration-instance-id ocid1.integrationinstance.oc1..xxxxx

# 既存インスタンスへProcess Automationを有効化
oci integration integration-instance enable-process-automation \
  --integration-instance-id ocid1.integrationinstance.oc1..xxxxx

# 注意: disable-process-automationは全プロセスと実行データを削除する。
# エクスポートと復元検証が終わるまで実行しない。

OCI Service

Process Automation(Oracle Integration 3付属)を実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

アプリ統合

比較で見る軸

クラウド: OCI / カテゴリ: アプリ統合 / 難易度: intermediate

導入後に効く点

現行はOracle Integration 3 Enterpriseへ付属する。

先に潰すリスク

サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。

数字・仕様の読み方
クラウド
OCI
カテゴリ
アプリ統合
難易度
intermediate
関連資格
設計柱
operational / reliability / security

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「アプリ統合 / operational」に近いか確認する。
  • 強みである「独立版は2026年4月3日に提供終了した。」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

アプリ統合operationalreliabilitysecurity