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Azure HPC Cache

Azure HPC Cache は 2025年9月30日に廃止済み。旧構成の集約名前空間・キャッシュ・NFS/Blob正本の依存関係を読み解き、性能・プロトコル・永続性の要件から移行先を再選定する。

中級パフォーマンス効率コスト最適化運用上の優秀性
最終更新: 2026-07-29公式ドキュメント
3つの要点
TL;DR
  1. Azure HPC Cache は 2025年9月30日に廃止・サポート終了しており、新規採用の対象ではない。
  2. 旧構成ではNFSやBlobを正本とし、集約名前空間とキャッシュで計算ノードからの読み取りを高速化した。
  3. 移行先は並列I/O、共有プロトコル、永続性、データ形式を測り、複数サービスから要件別に選ぶ。

解決する課題

2025年9月30日に廃止済み

Azure HPC Cache は廃止され、サポートも終了しています。新規構築や継続利用を勧める記事ではありません。このページでは旧構成の依存関係を読み解き、正本を保全したまま代替構成へ移行するための確認点を扱います。

HPC のスケールアウト計算では、多数のノードが同じデータセットを読むため、正本との距離や帯域がボトルネックになります。旧 Azure HPC Cache は、NFS や Blob の手前にキャッシュと集約名前空間を置いてこの問題を緩和していました。移行では製品名を置き換えるのではなく、旧キャッシュが担っていた次の責任を分解します。

  • 計算ノードが参照する NFS マウントパスと集約名前空間を特定する
  • 各パスの正本が NFS と Blob のどちらか、書き込みがいつ正本へ反映されるかを確認する
  • 作業集合、ヒット率、読み書き比率、帯域、待ち時間を測り、キャッシュが吸収していた負荷を数値化する
  • アプリケーションが必要とする POSIX 操作、NFS / SMB、オブジェクトAPIを分けて移行先を選ぶ

旧構成の主要概念

  • キャッシュ: 旧 HPC Cache 本体。計算ノードからのマウント先となり、バックエンドの内容を一時保持して配信していた
  • ストレージターゲット: キャッシュの背後にある実データの所在。オンプレや Azure 上の NFS サーバー、または Azure Blob を登録する
  • キャッシュサイズ / スループット: キャッシュに割り当てる容量と、提供できるスループットの規模。需要に合わせて選ぶ
  • 集約名前空間(アグリゲーテッドネームスペース): 複数のストレージターゲットを1つのディレクトリツリーに束ね、計算ノードからは単一のマウントポイントとして見せる仕組み
  • キャッシュポリシー / 使用モデル: 書き込みの扱いやキャッシュの保持方針を決める設定。読み取り中心か、書き戻しを行うかなどで選ぶ
  • NFS Blob(ADLS / Blob ターゲット): Azure Blob をバックエンドにする構成。オブジェクトをファイルのように扱って計算へ供給する

旧構成の仕様と制限

  • 計算ノードからのアクセスは NFS(v3 など) が中心で、Linux ベースの HPC クラスターに向く
  • バックエンドのストレージターゲットは NFS サーバーAzure Blob に対応する
  • 読み取り中心ワークロード向けに最適化されたキャッシュであり、永続的なプライマリストレージそのものではない。実体はストレージターゲット側にある
  • キャッシュは VNet 内のサブネットにデプロイされ、計算ノードと同じネットワークから到達する構成だった
  • キャッシュサイズとスループットは デプロイ時に規模を選択する方式だった
  • サービスは廃止済みであり、当時の仕様を新規構成の選定根拠には使わない
移行前に正本を確定する

旧 HPC Cache は手前の性能層で、正本はストレージターゲット(NFS や Blob)側にあります。未反映の書き込みがないことを確認し、正本の件数・容量・検査値を保存してから切り替えます。

内部の仕組み

旧 Azure HPC Cache は、計算ノードとバックエンドストレージの間に位置するキャッシュ層でした。計算ノードはキャッシュをマウントし、初回アクセスでバックエンドから取得した内容をキャッシュが保持します。以降の同一データはキャッシュから配信され、バックエンドの距離や帯域による影響を抑えていました。

  • 計算ノードは NFS でキャッシュをマウントし、バックエンドの所在を意識せずに読み書きしていた
  • バックエンドの NFS サーバーや Azure Blob はストレージターゲットとして登録され、キャッシュミス時に参照された
  • 複数のストレージターゲットを 集約名前空間で1つのツリーに束ね、計算側には単一のマウントポイントとして見せていた
  • 読み取りはキャッシュヒットで高速化され、書き込みは 使用モデルに従ってバックエンドへ反映された

横にスクロール

廃止済みAzure HPC Cacheの旧データ経路を確認し、並列I/O、低遅延共有、汎用共有や分析の要件ごとに移行先を比較する図
旧キャッシュのマウントパス、正本、書き込み反映方式を棚卸しし、性能・プロトコル・永続性の要件から移行先を再選定します。製品名の一対一置換ではなく、実測値で切り替えを判定します。
マウントパスだけを見て移行先を決めない

同じ NFS マウントでも、並列I/O、低遅延の共有、既存NASのデータ近接では必要な仕組みが異なります。クライアント数、読み書き比率、ファイルサイズ分布、POSIX操作、正本の場所を測ってから候補を絞ります。

移行設計 / ベストプラクティス

  • 依存関係を棚卸し: マウントパス、ストレージターゲット、利用モデル、クライアント、認証、ネットワーク経路を一覧化する
  • 基準性能を保存: ピーク帯域、p95待ち時間、IOPS、作業集合、ファイルサイズ分布、同時クライアント数を移行前に測る
  • 正本を検証: 未反映の書き込みを排出し、件数・容量・検査値を記録する。キャッシュ上だけに残るデータを作らない
  • 要件ごとに候補を比較: 大規模な並列I/O、低遅延NFS/SMB、汎用共有、オブジェクト分析を分け、複数サービスを評価する
  • 段階的に切り替え: 代表ジョブで互換性と性能を確認し、読み取り専用期間、差分同期、最終切り替えの順に進める
  • 切り戻し条件を決める: 待ち時間、エラー率、データ不一致のしきい値と、旧マウントへ戻す期限を事前に定義する

移行時の運用・監視

  • 旧構成の監視記録が残っていれば、ヒット率、スループット、待ち時間、ストレージターゲット障害を移行後の基準値とする
  • 新旧の代表ジョブで、処理時間だけでなく メタデータ操作、小ファイル処理、同時実行時のp95待ち時間を比較する
  • 名前解決、NFS エクスポート、ID/ACL、サブネット、経路MTUを切り分け、性能低下をストレージだけの問題と決めつけない
  • 最終同期後は、正本の件数・容量・検査値を照合し、アプリケーションの書き込み先が新構成だけになったことを確認する
  • 監視、バックアップ、障害復旧手順の移管を完了してから、旧構成に関係するネットワーク規則や資格情報を撤去する

コスト

サービスは廃止済みなので、旧 HPC Cache の料金を新規設計へ当てはめません。移行先の費用は、保存容量だけでなく、必要帯域、操作回数、データ移行、二重稼働、ネットワーク転送、検証ジョブまで含めて比較します。

  • 移行期間の 新旧二重保存と二重転送を一時費用として見積もる
  • 実測したピーク帯域と待ち時間から性能階層を選び、平均負荷だけで過小構成にしない
  • Blob/ADLS Gen2 へ寄せる場合は、要求回数、階層移行、再水和、アプリケーション改修も含める
  • ファイルサービスを選ぶ場合は、確保容量に連動する帯域、スナップショット、地域間複製の費用を分ける
撤去を移行完了と取り違えない

新しいマウント先へ接続できただけでは完了ではありません。代表ジョブの性能、正本の整合性、バックアップ、復旧試験、監視、利用者切り替えを確認してから旧依存を撤去します。

セキュリティ

  • 旧構成の NFS エクスポート規則、クライアント範囲、VNet経路を棚卸しし、新構成で同等以上に制限する
  • Azure Blob を正本としていた場合は、Microsoft Entra ID、RBAC、ネットワーク境界、暗号鍵の責任者を確認する
  • オンプレ NAS が正本なら、VPN / ExpressRoute の経路、名前解決、ファイアウォール、遅延を移行試験へ含める
  • 移行用アカウントには読み取り元と書き込み先の最小権限だけを与え、検査後に資格情報を失効させる
  • 旧サービス向けの規則や資格情報は、切り戻し期限と監査記録を確認してから削除する

関連サービス・比較

Azure HPC Cache に一対一で対応する移行先を決め打ちしません。旧構成が担っていた責任を分け、ワークロードが実際に必要とするI/Oとプロトコルから候補を比較します。

主な要件検討候補確認すること
大規模な並列ファイルI/OAzure Managed LustrePOSIX操作、作業量、Blobとの取り込み・書き戻し
低遅延の永続NFS/SMBAzure NetApp Filesサービスレベル、容量連動の帯域、ゾーン・地域間復旧
汎用の共有ファイルAzure FilesNFS/SMB、性能階層、同時接続、File Syncの要否
オブジェクト分析・長期保管Azure Blob/ADLS Gen2ファイルAPIからの変更、データ形式、要求回数、再水和時間
複数サービスの組み合わせも評価する

計算中だけ Azure Managed Lustre を使って結果を Blob へ戻す構成や、共有ファイルを Azure NetApp Files/Azure Files に置いて分析成果物を Blob へ退避する構成もあります。要件境界ごとに役割を分け、単一製品へ寄せることを目的にしないでください。

ハンズオン / CLI例

# 旧HPC Cacheリソースの記録が残っていないか読み取り専用で棚卸し
az resource list \
  --resource-type Microsoft.StorageCache/caches \
  --query '[].{name:name,resourceGroup:resourceGroup,location:location,id:id}' \
  --output table

# 各計算ノードで現在のNFSマウント元・方式を記録
nfsstat --mounts
findmnt -t nfs,nfs4 -o TARGET,SOURCE,FSTYPE,OPTIONS

# 正本側の総容量とファイル数を、同一ファイルシステム内で読み取り専用集計
du -sx --block-size=1 /mnt/source
find /mnt/source -xdev -type f -printf '.' | wc -c

廃止済みサービスを作成するコマンドは掲載しません。上の結果に加え、監視履歴、構成管理、ジョブ定義から旧マウントパスと正本を突き合わせ、候補サービスごとの検証環境で性能と互換性を確認します。

Azure Service

Azure HPC Cacheを実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

ストレージ

比較で見る軸

クラウド: Azure / カテゴリ: ストレージ / 難易度: intermediate

導入後に効く点

旧構成ではNFSやBlobを正本とし、集約名前空間とキャッシュで計算ノードからの読み取りを高速化した。

先に潰すリスク

サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。

数字・仕様の読み方
クラウド
Azure
カテゴリ
ストレージ
難易度
intermediate
関連資格
設計柱
performance / cost / operational

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「ストレージ / performance」に近いか確認する。
  • 強みである「Azure HPC Cache は 2025年9月30日に廃止・サポート終了しており、新規採用の対象ではない。」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

ストレージperformancecostoperational