クラウドサービス

Azure Internet Analyzer

2024年3月15日に廃止された実利用者計測サービス。旧プロファイルの測定原理を理解し、合成監視と実利用者計測を要件別に組み合わせた代替へ移行する。

中級パフォーマンス効率運用上の優秀性
最終更新: 2026-07-29公式ドキュメント
3つの要点
TL;DR
  1. Azure Internet Analyzer は 2024 年 3 月 15 日に廃止済みで、新規導入できない。
  2. 旧サービスはブラウザーから候補先へ小さな要求を送り、地域・回線別の差を比較していた。
  3. 移行先は一製品に決め打ちせず、合成監視・実利用者計測・Azure Monitor を要件別に評価する。
2024 年 3 月 15 日に廃止済み

Azure Internet Analyzer はすでに廃止されており、ここで旧アーキテクチャを説明する目的は、残存する計測コードや設計資料を理解して代替監視へ移行するためです。旧プロファイルの新規作成手順としては使用しません。

解決する課題

  • CDN やリージョン、配信構成を切り替えたいが、本当に速くなるのかを本番投入前に確かめたい
  • 合成監視(特定地点からの定点観測)では、世界中に散らばる実ユーザーが体感する速度まではわからない
  • 「東京リージョンへ寄せるべきか」「別の CDN のほうが速いか」を、実利用者の分布に基づく実測データで意思決定したい
  • 移行や構成変更の効果を定量的に示し、関係者に納得感のある根拠を提示したい

主要概念と用語

  • Internet Analyzer(廃止済み): Web ページに埋め込んだ計測用 JavaScript で、実利用者のブラウザーから複数エンドポイントへ計測を流し、体感ネットワーク性能を比較していたサービス
  • テスト(Test): 何と何を比較するかを定義する単位。比較対象のエンドポイント群とサンプリング条件をまとめる
  • エンドポイント: 計測先の URL/ホスト。現行構成・移行先候補・別 CDN・別リージョンなどを並べ、相対的に比較する
  • クライアント側計測(RUM 型): 実利用者の端末・回線・地理から計測するため、定点観測の合成監視と違い実際のユーザー体験を反映する
  • 計測スクリプト: 各エンドポイントへ小さなリソースを取得しに行き、応答までの時間などを測ってバックエンドへ送る軽量な JavaScript
  • A/B(プリファレンス)比較: 同一ユーザーから複数候補へ計測し、どちらが速いかという相対比較を集計する。絶対値より「どちらが優位か」を見る

仕様・制限・クォータ

  • 旧 Internet Analyzer は計測に徹するツールであり、実トラフィックの経路には介在しなかった(プロキシでも CDN でもない)。計測結果は構成判断の材料だった
  • サービスは 2024 年 3 月 15 日に廃止済み。新しいプロファイルを作成するのではなく、残存スクリプトと旧プロファイル参照を撤去し、代替計測へ移行する
  • 計測はページを開いた実利用者のブラウザで実行される。十分な母数を得るにはある程度のアクセス量と計測期間が必要で、トラフィックが少ないと統計的に有意な差は出にくい
  • 比較対象のエンドポイントは、計測スクリプトから到達でき、CORS など取得に必要な設定が整っている必要がある
  • 1 テストに登録できるエンドポイント数や、サブスクリプション/リソースあたりのテスト数などに上限がある(最新値は公式ドキュメントで確認)
  • 計測するのは主にネットワーク到達時間(レイテンシ)であり、アプリのレンダリング全体の体感(LCP などのページ表示性能)を直接最適化するものではない

内部の仕組み

旧サービスでは、利用者が計測スクリプトを含むページを開くと、ブラウザーが各エンドポイントから小さなリソースを取得し、応答までの時間を測っていました。その結果を集約し、地理やネットワーク(ASN)ごとに比較していました。

  • 計測はバックグラウンドで非同期に行われ、利用者のページ表示を妨げない軽量設計が前提
  • 同一ユーザーから複数候補を計測することで、回線・地理の差を相対比較で打ち消し、純粋な構成差を見やすくする
  • 実ユーザーの地理分布・接続元 ASN がそのまま母集団になるため、合成監視では拾いにくい地域別の傾向が見える
  • 十分なサンプルが集まると、地域ごとにどちらが速いかの傾向が統計的に表れ、移行判断の根拠になる
合成監視と RUM の違いを使い分ける

特定地点からの合成監視は再現性が高く回帰検知に向き、実利用者計測は端末・地域・回線を含む体感把握に向きます。旧 Internet Analyzer の置き換えでは名称の近さだけで一製品を選ばず、比較実験、継続監視、ページ体感、地域別分析のどれが必要かを分解して組み合わせます。

横にスクロール

旧Azure Internet Analyzerが利用者ブラウザーから現行と候補のエンドポイントへ小さな試験要求を送り、地域や回線別の結果を集約して比較していた計測フロー図
Azure Internet Analyzer は 2024 年 3 月 15 日に廃止されました。図は旧プロファイルの測定原理を移行設計のために示したもので、新規導入手順ではありません。現在は合成監視と実利用者計測を要件別に組み合わせます。

旧構成からの移行 / ベストプラクティス

  • 残存物を棚卸し: Web ページの旧計測スクリプト、CORS 許可、旧エンドポイント、運用手順、ダッシュボード参照を検索する
  • 要件を分解: 定点からの可用性・遅延は合成監視、実端末の体感は RUM、Azure リソースのメトリクスとログは Azure Monitor など、観測目的ごとに候補を評価する
  • 比較条件を維持: CDN やリージョンを比較する場合は、取得サイズ、キャッシュ条件、時間帯、地域、標本数をそろえ、平均値だけでなく分位点も見る
  • 並行計測して差を確認: 代替の収集範囲、遅延、欠損、保持期間、個人情報の扱いを検証してから監視や判断フローを切り替える
  • 旧コードを撤去: 代替の受け入れ後は旧スクリプトと不要な CORS 設定を削除し、クライアント通信と攻撃面を残さない

移行後の運用・監視

  • 合成監視では成功率・名前解決・接続・TLS・応答時間を分け、複数地点から同一条件で測る
  • 実利用者計測では同意、匿名化、標本率、地域・回線・端末の偏り、十分な母数を確認する
  • Azure Monitor などのプラットフォーム指標とアプリ指標を同じ時刻軸で突き合わせ、ネットワーク差と処理時間を混同しない
  • 構成変更の前後で同じ指標と期間を比較し、期待どおり改善したかを事後検証する

コスト

  • 廃止済みの旧サービス料金ではなく、代替の試験実行数、RUM セッション数、ログ取り込み量、保存期間、可視化を分けて見積もる
  • 実利用者計測は閲覧側にも通信が発生するため、取得量、標本率、モバイル回線への影響を含める
  • 長期保存と高カーディナリティな地域・回線属性は分析費を増やす。意思決定に必要な粒度と保持期間に絞る

セキュリティ

  • 旧計測スクリプトが残っていないか確認し、残存していれば配信元・送信先・収集データを特定して撤去する
  • 比較先エンドポイントを公開する際は、内部 IP やプライベートな FQDN を露出しないよう登録内容に注意する
  • 計測のために設定する CORS などの許可は最小限にし、計測に必要な範囲を超えて緩めない
  • 計測結果には地理・ネットワークの集計情報が含まれる。保存・共有する場合はアクセス制御を適切に行う

関連サービス・比較

観点旧 Internet Analyzer(廃止済み)Azure Traffic Manager
主目的体感性能の計測・比較DNS でのグローバル振り分け
経路への介在しない(計測のみ)しない(DNS 応答のみ)
計測の出どころ実利用者のブラウザヘルスプローブ
使いどころ移行/CDN 切り替えの判断本番のルーティング制御
扱うデータ地理/ネットワーク別の比較エンドポイント正常性
実行タイミングページ閲覧時に計測常時のルーティング
  • 旧 Internet Analyzer は測定、Traffic Manager は DNS による本番振り分けという別の役割でした。Traffic Manager は旧計測機能の移行先ではありません
  • 代替計測の結論を Traffic Manager や Front Door の設定へ反映する場合も、TTL、既存接続、ヘルスプローブを含む切替試験を別途行います
  • 継続的な可観測性は、Azure Monitor を含む合成監視・実利用者計測・アプリ監視の候補を要件別に評価します

移行チェック

  1. ソースコード、タグ管理、CDN キャッシュ、CSP、CORS から旧 Internet Analyzer の参照を検索する
  2. 旧計測が支えていた判断を、可用性監視・比較実験・実利用者体感・地域分析へ分類する
  3. 代替候補を並行評価し、収集遅延、欠損、粒度、保持、個人情報、料金を確認する
  4. ダッシュボード、アラート、運用手順を切り替え、旧スクリプトと不要な許可設定を撤去する

Azure Service

Azure Internet Analyzerを実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

ネットワーキング

比較で見る軸

クラウド: Azure / カテゴリ: ネットワーキング / 難易度: intermediate

導入後に効く点

旧サービスはブラウザーから候補先へ小さな要求を送り、地域・回線別の差を比較していた。

先に潰すリスク

サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。

数字・仕様の読み方
クラウド
Azure
カテゴリ
ネットワーキング
難易度
intermediate
関連資格
設計柱
performance / operational

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「ネットワーキング / performance」に近いか確認する。
  • 強みである「Azure Internet Analyzer は 2024 年 3 月 15 日に廃止済みで、新規導入できない。」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

ネットワーキングperformanceoperational