Azure Time Series Insights
Azure Time Series Insightsは2024年7月7日に退役済み。旧環境の取り込み・履歴・クエリをAzure Data ExplorerまたはMicrosoft Fabricへ移行するための整理。
- Azure Time Series Insightsは2024年7月7日に退役済み。
- 旧環境はIoT HubやEvent Hubsから時系列データを取り込んでいた。
- 移行先はAzure Data ExplorerまたはFabric Eventhouseを選ぶ。
解決する課題
工場の設備やセンサーが生み出す時系列データは、時間とともに膨大に積み上がります。Azure Time Series Insights はこの用途を担っていましたが、2024年7月7日に退役済みです。現在の課題は、旧環境の取り込み契約・モデル・履歴・利用画面を棚卸しし、KQL ベースの現行基盤へ安全に移すことです。
- 旧イベントソース、Time Series ID、Time Series Model、API 利用者を 漏れなく棚卸ししたい
- Gen2 の顧客所有ストレージに残る履歴を 保持・移行・削除のどれにするか決めたい
- 旧クエリと画面を KQL と現行の可視化へ移植し、件数・時刻・集計結果を照合したい
- 新しい取り込み先を Azure Data Explorer または Fabric Eventhouseへ切り替えたい
Azure Time Series Insights は2024年7月7日に退役済みで、新規環境を作成・利用できません。新しい取り込み先には Azure Data Explorer または Microsoft Fabric Real-Time Intelligence の Eventhouse / KQLデータベースを選び、旧Gen2の履歴は顧客所有ストレージから移行・参照します。
主要概念と用語
- 環境(Environment): Time Series Insights の最上位のリソース。データの取り込み・保持・クエリの単位となる
- イベントソース(Event Source): データの入口。IoT Hub や Event Hubs を接続し、メッセージを取り込む
- Time Series ID: 各時系列(センサーや機器)を識別するキー。このキー単位でデータが整理・分割される
- タイムスタンププロパティ: イベントの発生時刻を表すプロパティ。時間軸の基準として使われる
- ウォーム / コールドストア: 直近データを高速参照する保持層(ウォーム)と、長期保管する保持層(コールド)の二層構成
- Time Series Model(TSM): 機器の階層・型・計算式などを定義し、生データに意味づけするモデル
- 環境エクスプローラー: 時系列をチャートで探索する Web の可視化 UI
- 時系列クエリ: 集計・補間・差分などを時間軸で行う、専用のクエリ機能
仕様・制限・クォータ
- 提供状況: TSI の環境、取り込み、Explorer、クエリ API は退役済みで、新規設計の選択肢ではない
- 旧入力契約: IoT Hub / Event Hubs、タイムスタンプ、Time Series ID、型変換を記録し、新基盤のスキーマへ対応付ける
- 旧モデル: Time Series Model の階層・型・変数・計算式を、KQL 関数、参照表、セマンティックモデルなどへ明示的に移植する
- 旧履歴: Gen2 は顧客所有の Azure Storage を使っていた。原本の形式・保持ポリシー・アクセス権を確認し、必要なら Azure Data Explorer の外部テーブルで参照するか取り込む
- 移行先: 独立した Kusto 基盤が必要なら Azure Data Explorer、Fabric 内の統合分析を優先するなら Eventhouse / KQL データベースを選ぶ
- 検証: 時刻帯、遅延到着、重複、欠損、型、集計窓を含む照合基準を作り、件数だけで完了判定しない
内部の仕組み
横にスクロール
Time Series Insights の旧構成は 取り込み → 保持 → クエリ/可視化 の流れでした。イベントソース として IoT Hub や Event Hubs を接続し、各イベントを タイムスタンプ と Time Series ID で系列化していました。現在は同じ上流を Azure Data Explorer または Fabric Eventhouse へ向け直し、KQLによる保持・分析・可視化へ移行します。
- 旧環境では ウォームストア と コールドストア、Time Series Model、専用クエリ、環境エクスプローラーを組み合わせていた
- 現在は IoT Hub / Event Hubs のルートを Azure Data Explorer または Fabric Eventhouse に向け、KQL で系列化・集計する
- 旧 API の利用者、保存済みクエリ、画面、アラート、認証先を一覧化し、新しい接続先と Entra ID / RBAC へ切り替える
- 旧 Gen2 ストレージはサービスと別の顧客資産なので、削除せずに原本確認・アクセス権・保持期限を先に確定する
IoT Hub は デバイス接続とメッセージング を担う入口、Time Series Insights は 取り込んだ時系列データの蓄積・分析 を担う出口側です。デバイスからのテレメトリを IoT Hub で受け、そのまま Time Series Insights のイベントソースとして取り込む構成が定番でした。
移行パターン / ベストプラクティス
- 依存関係を先に固定: イベントソース、Time Series ID、モデル、クエリ、画面、API 利用者、権限、Gen2 ストレージを一覧化する
- 新しい正本を決める: 発生時刻と取り込み時刻、系列 ID、スキーマ、保持期間、重複排除キーを新基盤で定義する
- 履歴を検証する: 旧 Gen2 ストレージを外部テーブルで参照するか取り込み、期間別の件数・最小最大時刻・代表集計を原本と比較する
- KQL へ移植する: 旧モデルの変数・補間・集計と保存済みクエリを KQL に書き換え、境界時刻と欠損時の結果も確認する
- 利用側を切り替える: API、Power BI、Grafana、業務アプリの接続先と認証を切り替え、失敗時の再処理経路を用意する
- 保持と削除を承認する: 法令・監査・復旧要件を確認し、旧ストレージの保持、アーカイブ、削除を明文化する
運用・監視
- Azure Data Explorer または Fabric 側で、取り込み成功・失敗・遅延・スロットリング・キャッシュ・ストレージを監視する
- IoT Hub / Event Hubs の滞留と新基盤の受信件数を突き合わせ、欠損・重複・遅延到着を検知する
- 移行済みアプリから旧 TSI URL や旧資格情報へのアクセスが残っていないか、コード・構成・ログを監査する
- 旧 Gen2 ストレージの権限と保持ポリシーを定期確認し、移行完了前の誤削除を防ぐ
コスト
退役済みの TSI 料金ではなく、移行先で見積もります。Azure Data Explorer はクラスター / コンピューティング、ホットキャッシュ、ストレージ、データ転送が中心です。Fabric Eventhouse は Fabric 容量と OneLake 保持などが中心です。旧 Gen2 ストレージを残す期間は、その保存・読み取り料金も重複して発生します。
セキュリティ
- 新しい Azure Data Explorer / Fabric と IoT Hub / Event Hubs は Entra ID、RBAC、マネージド IDで最小権限にする
- 旧 TSI のサービスプリンシパル、URL、保存済みトークン、接続文字列を棚卸しし、移行後に失効する
- 旧 Gen2 ストレージは TSI 退役後も顧客資産として残り得る。ネットワーク、暗号化、保持、削除、監査ログの責任を明確にする
- 履歴を書き出す際は、作業者の一時権限と出力先を限定し、移行コピーを新たな野良データにしない
時系列データは設備の稼働状況など機微な情報を含むことがあります。読み取りと書き込みを役割で分離 し、取り込み経路となる IoT Hub / Event Hubs のアクセスポリシーも最小権限で設計してください。
移行先の比較
Time Series Insights は退役済みです。新規の時系列分析では、運用境界と既存の分析基盤に合わせて次の現行サービスを選びます。
| 観点 | Azure Data Explorer | Fabric Eventhouse / KQL DB |
|---|---|---|
| 位置づけ | 独立して運用するKusto分析基盤 | Fabric内のリアルタイム分析基盤 |
| 主な選択理由 | クラスターと性能を個別に制御 | OneLake・Power BIなどと統合 |
| クエリ | KQL | KQL |
| 旧履歴 | Storage外部テーブルまたは取り込み | OneLake経由または取り込みを設計 |
| 主な課金軸 | 計算資源・キャッシュ・ストレージ | Fabric容量・OneLake保持 |
- Time Series Insights は 2024年7月7日に退役済みで、新規作成・新規利用の選択肢ではないこと
- 旧環境では IoT Hub / Event Hubs、Time Series ID、Time Series Model の対応関係を移行前に棚卸しすること
- 旧Gen2の顧客所有ストレージ、保持期間、KQL、画面、利用者権限を移行対象として整理すること
- 後継は要件に応じて Azure Data Explorer または Fabric Eventhouse / KQLデータベースを選ぶこと
- AWS の近いサービスは IoT SiteWise / Amazon Timestream であること
既存環境の棚卸し / CLI例
以下は退役済み環境を新規作成する手順ではなく、残っているリソースと設定を移行前に確認する例です。
# サブスクリプション内に残る旧TSI環境を一覧化
az resource list \
--resource-type Microsoft.TimeSeriesInsights/environments \
--query "[].{name:name, resourceGroup:resourceGroup, location:location, id:id}" \
--output table
# 対象環境のプロパティをJSONで保存し、ID・SKU・ストレージ設定を確認
az resource show \
--ids <旧TSI環境のリソースID> \
--output json
# 同じリソースグループのIoT Hub、Event Hubs、ストレージも一覧化
az resource list \
--resource-group <リソースグループ名> \
--query "[].{name:name, type:type, id:id}" \
--output table
Azure Service
Azure Time Series Insightsを実務で読む
TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。
解決すること
IoT
比較で見る軸
クラウド: Azure / カテゴリ: IoT / 難易度: intermediate
導入後に効く点
旧環境はIoT HubやEvent Hubsから時系列データを取り込んでいた。
先に潰すリスク
サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。
- クラウド
- Azure
- カテゴリ
- IoT
- 難易度
- intermediate
- 関連資格
- —
- 設計柱
- operational / cost
判断チェックリスト
- 自社の用途が「IoT / operational」に近いか確認する。
- 強みである「Azure Time Series Insightsは2024年7月7日に退役済み。」が本当に評価軸になるか確認する。
- 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
- 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
- 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
- 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。