クラウドサービス

Azure Lab Services

2027年6月28日に提供終了予定の教育向け仮想マシンサービス。既存ラボを棚卸しし、用途別の代替基盤へ移行する。

基礎コスト最適化運用上の優秀性セキュリティ
最終更新: 2026-07-29公式ドキュメント
3つの要点
TL;DR
  1. 2024年7月15日以降、新規顧客は利用を開始できない。
  2. 既存ラボは2027年6月28日の終了までに移行する。
  3. 授業、開発、常設端末の用途別に代替サービスを選ぶ。
2027年6月28日に提供終了予定

新規顧客の受付は2024年7月15日に終了しました。終了後はラボアカウント、ラボプラン、ラボへアクセスできません。既存顧客はテンプレート、利用者、スケジュール、ネットワーク、教材データを棚卸しし、期限前に代替基盤へ切り替えてください。Azure Compute Gallery と保存済みイメージは残ります。

解決する課題

授業・社内研修・セミナーなどで、参加者全員に同じ実習環境を素早く配りたい場面で使います。各自の PC スペックや OS の差を気にせず、ブラウザやクライアントから同一構成の仮想マシンに接続でき、教員や IT 管理者がインフラ構築の負担を負わずに済みます。

  • 受講者ごとに同じ構成の仮想マシンを、人数分まとめて用意したい
  • 各自の端末性能に左右されず、重い開発ツールや GPU 作業を実習でやらせたい
  • 学期や研修期間だけ環境を使い、終わったら丸ごと片付けたい
  • 教員・講師がネットワークやサブスクリプションの詳細を意識せずに環境を配りたい
  • 利用時間の上限を決めて、使いすぎによる課金を未然に防ぎたい

主要概念と用語

  • ラボプラン: ラボを作成・管理するための上位リソース。リージョン・接続するネットワーク・利用可能な VM サイズ・イメージなどの共通設定を IT 管理者が定める器
  • ラボ: 1つの授業や研修に対応する単位。テンプレート VM・受講者リスト・スケジュール・利用上限などをまとめて持つ
  • テンプレート VM: ラボの基になる1台の仮想マシン。教員がここにツールや教材を入れて作り込み、公開すると同じ内容が受講者へ複製される
  • 受講者 VM(ラボ VM): テンプレートから複製され、受講者1人ひとりに割り当てられる仮想マシン。各自が独立して使う
  • スケジュール: ラボ VM を自動で起動・停止する時間設定。授業時間に合わせて動かせる
  • クォータ(割当時間): 受講者がスケジュール外で自由に使える時間の上限。実習の自習枠などに相当する
  • ラボプランの管理者・教員・受講者: それぞれ IT 管理者・授業担当者・参加者に対応するロール

仕様・制限・クォータ

  • ラボ VM は内部的に Azure の仮想マシンとして動くため、選べる VM サイズや GPU 付きサイズはラボプランで許可された範囲に限られる
  • 各受講者に割当時間の上限を設定でき、上限と自動停止スケジュールの両方でコストを制御する
  • 1つのラボに登録できる受講者数(VM 台数)の上限があり、必要に応じてラボを分ける
  • 利用できるリージョンや VM サイズの空き容量はサブスクリプションのクォータに従うため、GPU など特定サイズは事前の容量確認が要る
  • イメージは Azure Marketplace 由来のものや、後述の Azure Compute Gallery から取り込んだカスタムイメージを使う
  • Lab Services のコアクォータは移行先へ引き継がれない。代替サービスの容量を別途申請し、試行前に確保する
ラボプランは既存顧客の移行元

新規に Lab Services を採用しないでください。ラボアカウント方式とラボプラン方式のどちらも移行対象です。ラボプランへの載せ替えではなく、用途に合う後継サービスへの移行を進めます。

内部の仕組み

横にスクロール

既存ラボのテンプレート、利用者、スケジュールを棚卸しし、用途別の代替サービスで環境を再構築して試行と切り替えを行う移行手順
移行はVMの複製だけでは終わりません。テンプレート、教材、利用者、時間制御、ネットワークを台帳化し、Azure Virtual Desktop、Azure DevTest Labs、Windows 365、Dev Box、提携サービスから用途に合う移行先を選びます。

Lab Services は「IT 管理者が用意するラボプラン」と「教員が運用するラボ」に役割が分かれています。教員はテンプレート VM を1台作り込んで公開し、その内容が受講者の人数分の VM として複製されます。受講者は専用の Web ポータルやリモート接続クライアントから、自分に割り当てられた VM へつなぎます。

  • 教員がテンプレート VM を起動し、ツール・教材・設定を作り込んでから公開する
  • 公開操作によってテンプレートのディスクが受講者ごとの VM に複製される
  • 受講者は登録メールからラボの URLにアクセスし、自分の VM を起動・接続する
  • スケジュールや割当時間に基づいて、VM は自動で起動・停止しコンピューティング課金を抑える
  • ネットワークは、ラボプランで仮想ネットワークと接続(ピアリング)して社内リソースへ到達させることもできる
責任分界のイメージ

基盤となる仮想化・ブローカ・配布の仕組みは Microsoft がマネージドで提供します。教員が責任を持つのはテンプレート VM の中身(OS・アプリ・教材)とスケジュールで、IT 管理者はラボプランのネットワーク・許可する VM サイズ・イメージを管理します。

設計パターン / ベストプラクティス

  • 用途ごとに移行先を分ける: 授業は提携サービスやAVD、開発検証はDevTest LabsやDev Box、常設端末はWindows 365を候補にして責任範囲を比較する
  • テンプレートを作り込んでから公開: ツール・ライセンス・サンプルデータをテンプレート VM に入れ、検証後に公開して全受講者へ一括展開する
  • スケジュールと割当時間を併用: 授業時間は自動起動・停止、自習分は割当時間の上限で配る、という二段構えで使いすぎを防ぐ
  • カスタムイメージは Compute Gallery で再利用: よく使う実習環境を Azure Compute Gallery に保存し、別のラボや次年度のラボから取り込む
  • ネットワーク接続は要件に応じて: 社内のライセンスサーバーやデータへ到達させたいときだけ、ラボプランで仮想ネットワークと接続する
  • GPU が要る実習は専用サイズで: 機械学習やレンダリングなど重い実習には GPU 付き VM サイズを許可し、通常実習は安価なサイズに分ける
  • 学期・研修ごとにラボを分ける: 終了後にラボを削除すれば、関連 VM ごと一括で片付けられる

運用・監視

  • ラボの管理画面で、各受講者 VM の状態(起動・停止)・割当時間の消費・登録状況を確認する
  • スケジュールどおりに自動起動・停止しているか、授業前後で受講者 VM の電源状態を点検する
  • イメージや教材を更新したいときは、テンプレート VM を再公開して受講者 VM を作り直す運用を取る
  • 接続できない受講者がいる場合は、登録状態・VM の電源・割当時間の残り・ネットワーク到達性を順に切り分ける
  • コストの傾向は、サブスクリプションのコスト分析でラボ単位のリソースを見て把握する

コスト

費用の中心は受講者ごとの仮想マシンの稼働時間です。VM が起動している時間に対して課金され、停止中はコンピューティング課金が止まる仕組みのため、起動時間の管理がそのまま節約につながります。

  • 稼働時間ベースの課金: ラボ VM が動いている時間に応じて費用が発生する。停止すればコンピューティング課金は止まる
  • 自動シャットダウンとスケジュールが最大の節約ポイント。授業外の時間に止める設定を必ず入れる
  • 割当時間の上限で、受講者の自習による使いすぎを未然に抑える
  • VM サイズの選定が単価に直結する。GPU など高性能サイズは必要な実習だけに限定する
  • 学期・研修の終了後はラボを削除し、不要な VM やディスクを残さない
止め忘れと作りっぱなしに注意

スケジュールや自動シャットダウンを入れずに受講者 VM を起動したままにすると、課金が積み上がります。授業外は停止する設定を入れ、研修終了後はラボを削除して VM・ディスクごと片付けましょう。

セキュリティ

  • ロールで責任を分離: IT 管理者(ラボプラン)・教員(ラボ運用)・受講者(自分の VM のみ)で権限を分け、必要以上の操作をさせない
  • 受講者は自分の VM だけにアクセスでき、他人の環境やラボプランの設定には触れない
  • ネットワークは必要なときだけ接続: 社内リソースへ到達させる場合のみ仮想ネットワークと接続し、不要な経路は作らない
  • テンプレート VM に機密データや本番の認証情報を入れない。実習用のサンプルデータと専用アカウントを使う
  • イメージの出所を管理: 信頼できる Marketplace イメージや、検証済みの Compute Gallery イメージのみを許可する
アンチパターン

テンプレート VM に本番のデータベース接続情報や個人情報を入れたまま公開すると、その内容が受講者全員の VM に複製され、情報漏えいにつながります。テンプレートには実習に必要な最小限の構成と、ダミーデータ・専用アカウントだけを置きましょう。

関連サービス・比較

移行先は単一ではありません。既存ラボが担っていたテンプレート複製、受講者管理、時間制御、ネットワークを分解し、用途と運用できる範囲に合わせて選びます。

移行先向く用途移行時に設計すること
Azure Virtual Desktop共有の授業・研修環境ホスト容量、プロファイル、利用時間
Azure DevTest Labs開発・検証用VMポリシー、イメージ、自動停止
Windows 365常設の個人用Cloud PCライセンス、Intune、利用者割り当て
Microsoft Dev Box開発者向け環境開発センター、定義、プロジェクト
提携サービス授業運営込みの実習機能差、データ移行、契約
使い分けのまとめ

「ラボVMをそのまま移す」のではなく、授業運営、開発環境、常設PCのどれを提供していたかで候補を絞ります。新しいサービス側のコアクォータは自動移行されないため、容量申請、試行、並行運用、切り替えの順で進めます。

移行対象の確認例

# 既存顧客が移行対象のラボを一覧化
az lab-services lab list \
  --resource-group lab-rg \
  --output table

一覧に加え、テンプレート内のアプリとライセンス、利用者、スケジュール、接続先、教材データを別の移行台帳へ記録します。

Azure Service

Azure Lab Servicesを実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

エンドユーザー / VDI

比較で見る軸

クラウド: Azure / カテゴリ: エンドユーザー / VDI / 難易度: basic

導入後に効く点

既存ラボは2027年6月28日の終了までに移行する。

先に潰すリスク

サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。

数字・仕様の読み方
クラウド
Azure
カテゴリ
エンドユーザー / VDI
難易度
basic
関連資格
設計柱
cost / operational / security

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「エンドユーザー / VDI / cost」に近いか確認する。
  • 強みである「2024年7月15日以降、新規顧客は利用を開始できない。」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

エンドユーザー / VDIcostoperationalsecurity