Azure VMware Solution
オンプレの VMware 環境を作り直さず Azure 上へそのまま移設できるマネージドサービス。vSphere や vSAN をそのまま使え、移行のリスクと手間を抑えられる。AWS の VMware Cloud on AWS に相当。
- vSphere、vSAN、NSXをAzureの専有ベアメタル上で運用する。
- HCXで移行し、世代に合う接続経路、DNS、帯域を切替前に検証する。
- 2025年11月以降の新規ノードはVCF持ち込みと3台以上のホストを要する。
解決する課題
オンプレミスの VMware 資産を、アプリやサーバーを作り直さずにクラウドへ動かせます。
- 仮想マシンを 再構築せず(リプラットフォーム不要) にそのまま移設できる
- vSphere・vSAN・NSX といった 使い慣れた VMware ツールと運用手順をそのまま継続できる
- データセンターの 退役・更新期限(リース満了やハード老朽化) に間に合わせられる
- 移行後は Azure の マネージドサービス(Azure SQL・監視・バックアップなど)と段階的に連携できる
主要概念と用語
- プライベートクラウド: Azure VMware Solution の最上位リソース。1つ以上のクラスターを含む、専有の VMware 環境のまとまり
- クラスター / ノード: 実体は Azure データセンター内の 専有ベアメタルホスト。ホスト上で ESXi が動き、ノードを足して容量を拡張する
- vSphere / vCenter: 仮想マシンの実行基盤と管理コンソール。利用者は vCenter から VM を作成・操作する
- vSAN: ホストのローカルディスクを束ねた ハイパーコンバージド(HCI)ストレージ
- NSX: ソフトウェア定義ネットワーク。セグメント・分散ファイアウォール・ゲートウェイを提供する
- HCX: オンプレと Azure VMware Solution 間の 移行・ネットワーク延伸ツール。無停止に近いライブ移行ができる
- 接続方式: Gen 1 は専用 ExpressRoute と Global Reach、Gen 2 は配置先の Azure 仮想ネットワークを使う。オンプレミス接続は世代と既存回線に合わせて設計する
仕様・制限・クォータ
- 配置は リージョン × 可用性ゾーン単位。提供リージョンやノード種別はリージョンにより異なる
- 初期配置は最小3ホストで、1クラスターは最大16ホスト。障害時にも容量を満たせるよう N+1 を推奨する
- 2025年11月1日以降に購入する新規ノードは、利用者が Broadcom から購入した持ち運び可能な VMware Cloud Foundation(VCF)ライセンスが必要。VCF込み予約で既に覆われるホストは予約期限まで継続できるが、超過分は持ち込み対象になる
- VCF のキー・契約情報・対象コア数はプライベートクラウド単位で登録し、追加ノード後も購入コア数を超えないよう更新する。登録状態は Azure ポータルで確認する
- ホスト台数・クラスター数・プライベートクラウド数には上限があり、サブスクリプション単位で クォータ引き上げ申請が可能
- ホスト割り当てには最大5営業日かかる場合がある。未使用クォータは原則30日で失効するため、必要時期と台数を合わせて申請する(有効な VCF キーや予約で覆われる分などは例外)
- ストレージ容量は vSAN(ノード内蔵)に加え、外部の データストア接続(Azure NetApp Files / Elastic SAN など) で拡張できる
- VMware のメジャーバージョンや機能対応は時期により変わるため、最新は公式ドキュメントで確認する
内部の仕組み
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Azure VMware Solution は、Microsoft が運用する Azure データセンター内の 専有ベアメタルホスト上に、VMware のソフトウェアスタック(ESXi・vCenter・vSAN・NSX)一式をプロビジョニングして提供します。物理ホストはマルチテナントで共有されず、クラスターは利用者専有です。
- コンピュートは各ホストの ESXi が担い、vCenter から従来どおり VM を管理する
- ストレージは標準で vSAN(ホスト内蔵ディスクの HCI プール)。容量だけ足したい場合は外部データストアを接続できる
- ネットワークは NSX のオーバーレイで構成する。Gen 1 は専用 ExpressRoute を Azure 仮想ネットワークへ接続し、オンプレミスとは Global Reach を使う。Gen 2 は Azure 仮想ネットワーク内へ配置し、標準 ExpressRoute またはサイト間 VPN でオンプレミスへ接続する
- 基盤ソフトウェアの ライフサイクル(パッチ・アップグレード)は Microsoft が管理し、利用者は VM とアプリの運用に集中できる
OS や仮想ディスク形式を変換せず、VMware の VM をそのままの形で持ち込めるのが最大の利点です。アプリ改修のリスクを抑えつつ、移行後に Azure のマネージドサービスへ段階的に寄せていけます。
設計パターン / ベストプラクティス
- まずリフト&シフト、その後モダナイズ: HCX で移設し、データベースや認証から順に Azure ネイティブへ寄せる
- 冗長性の確保: 本番クラスターは複数ホスト構成とし、可用性ゾーンや vSAN のフォールトトレランスを考慮する
- ハイブリッド接続の設計: Gen 1 / Gen 2 に合う接続方式を選び、名前解決、経路広告、MTU、ファイアウォール通過を移行前に実測する
- 容量計画: vSAN の使用率を監視し、逼迫する前にノード追加か外部データストア接続で拡張する
- コスト最適化: 長期稼働が前提なら、予約(リザーブド)で大幅な割引を狙う
運用・監視
- vCenter / NSX Manager は従来どおり VM・ネットワークの日常運用に使う
- Azure Monitor にメトリクスとログを取り込み、Azure 側のアラート・ダッシュボードと統合できる
- 基盤の パッチ・アップグレードは Microsoft 側で実施されるため、利用者作業は VM とアプリ層が中心
- 容量の逼迫(vSAN 使用率・CPU/メモリのオーバーコミット)を早期に検知し、ノード追加で対処する
- バックアップ・DR は VMware 連携の サードパーティ製品や Azure のサービスと組み合わせて設計する
コスト
主な課金はホスト(ノード)単位で、稼働時間に対して発生します。長期利用ほど予約が効きます。
| 購入オプション | 割引 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 従量課金 | なし(定価) | 短期の移行検証・PoC |
| リザーブド(1年/3年) | 長期コミットで大幅割引 | 定常稼働の本番クラスター |
| VCFライセンス | 2025-11-01以降の新規ノードは利用者が用意 | 対象コアと登録状態を追加前に確認 |
| Azure Hybrid Benefit | 既存 Windows/SQL ライセンス持ち込み | ゲスト OS のライセンス最適化 |
ベアメタルホストは確保している間、課金が継続します。VM を止めてもノードを確保したままだと費用は止まりません。容量計画と予約の活用がコストの肝です。
セキュリティ
- ネットワーク分離は NSX の分散ファイアウォール・セグメントで実現し、最小許可を徹底する
- 操作権限は Azure 側の Microsoft Entra ID と RBAC、および vCenter のロールで二層に制御する
- 保存データは vSAN の 暗号化、鍵は Azure Key Vault と連携して管理できる
- オンプレ・Azure 間の通信は ExpressRoute(専有回線) を基本とし、公開経路を最小化する
- 脅威検知やコンプライアンスは Microsoft Defender for Cloud と組み合わせて可視化する
専有環境だからと運用を放置するのは NG。基盤パッチは Microsoft 管理でも、ゲスト OS とアプリの更新・権限・ネットワークルールは利用者責任です。NSX のファイアウォールと RBAC を最小許可で運用してください。
関連サービス・比較
VM をそのまま持ち込む Azure VMware Solution と、Azure ネイティブの Virtual Machines は移行戦略が異なります。
| 観点 | Azure VMware Solution | Azure Virtual Machines |
|---|---|---|
| 位置づけ | VMware 環境をそのまま移設 | Azure ネイティブの IaaS |
| 移行方式 | リフト&シフト(再構築不要) | 再構築/リプラットフォーム前提 |
| 管理面 | vCenter/NSX を継続利用 | Azure ポータル/CLI で管理 |
| 課金単位 | ベアメタルホスト(ノード) | VM 単位(停止で課金停止) |
| 相当する他クラウド | VMware Cloud on AWS | AWS EC2 |
ハンズオン / CLI例
# 拡張機能を更新し、既存環境とVCF登録状態を棚卸しする
az extension add --name vmware --upgrade
az vmware private-cloud list \
--resource-group avs-rg -o table
# 容量・世代・接続情報を確認
az vmware private-cloud show \
--resource-group avs-rg \
--name demo-avs \
--query "{name:name, state:provisioningState, sku:sku.name, hosts:managementCluster.clusterSize}" -o table
# 2025年11月以降の新規・追加ノードでは、追加前にVCF登録を確認
az vmware private-cloud get-vcf-license \
--resource-group avs-rg \
--private-cloud-name demo-avs -o json
Azure Service
Azure VMware Solutionを実務で読む
TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。
解決すること
コンピューティング
比較で見る軸
クラウド: Azure / カテゴリ: コンピューティング / 難易度: intermediate
導入後に効く点
HCXで移行し、世代に合う接続経路、DNS、帯域を切替前に検証する。
先に潰すリスク
サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。
- クラウド
- Azure
- カテゴリ
- コンピューティング
- 難易度
- intermediate
- 関連資格
- —
- 設計柱
- operational / reliability / cost / security
判断チェックリスト
- 自社の用途が「コンピューティング / operational」に近いか確認する。
- 強みである「vSphere、vSAN、NSXをAzureの専有ベアメタル上で運用する。」が本当に評価軸になるか確認する。
- 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
- 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
- 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
- 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。